MRI Research Associates
博士課程出身社員座談会
VOICES
視野を広く持てば、博士課程でトレーニングされた
研究プロセスや論理的思考力が大いに役立つ
猪狩 貴史

エンジニアリング事業部
2015年入社
理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻 博士課程 修了

理学博士。目指すべき将来像は、頼られる専門家。入社後しばらくは放射線解析の専門家を目指していたが、現在は、より広い世界を見てみたいという気持ちが強くなり、放射線以外の分野への関心も高まっている。高校からバトミントンを始め、現在も続けている。

Takafumi Igari
於保 ゆりえ

企画部
2009年入社
工学研究科 計算理工学専攻 博士課程 修了

博士(工学)。博士課程では日本学術振興会特別研究員DC2。出産を機にコーポレート部門に移り、ゆくゆくは1つのテーマ・業務を極めた専門家ではなく、幅広いテーマ・業務をカバーできるオールラウンド型を目指す。日々のリフレッシュは、漫画と子供とのふれあい。月1回は家族旅行をしている。

Yurie Oho
黄色 大悲

サステナビリティ事業部
ヘルスケア・ウェルネスチーム
事業リーダー
2012年入社
薬学系研究科 分子薬学専攻 博士課程 修了

薬学博士。博士課程では日本学術振興会特別研究員DC1。専門性を今以上に高めていき、制度や政策を大きく変革するような案件を手掛けられる存在を目指す。趣味は旅行。最近は、ラオスの素朴さが気に入っている。

Daihi Oushiki

01
学究を極めたい

はじめに皆さんの博士課程進学理由と、研究内容を教えてください。

猪狩
アインシュタインに憧れて素粒子宇宙物理学を専攻しました。素粒子論の分野でも現象論に取り組み、博士課程の初期は修士課程からのテーマだったヒッグス粒子について研究していました。研究成果が芳しくなかったため、修士課程を修了する頃には、研究者の道はほぼ諦めていたのですが、途中で投げ出すのは嫌で……。この道で世の中に自分の研究成果を出したい、やり切りたいと博士課程への進学を選びました。
黄色
私はアカデミア志向だったからですね。研究も面白かったですし。「蛍光プローブ」と呼ばれる機能性分子の開発と応用に関する研究に取り組んでいました。蛍光プローブは、特定の分子と反応することで分子構造が変化し、強い蛍光を発するようになるため、この機能をがんの検査などに応用できないかと期待されています。現在では、外科手術の際にがん細胞の取り残しを防ぐため、切除部にスプレーで吹き付けて、微小ながん細胞を検出する試みなども進んでいます。
於保
幼稚園の頃から将来何になりたいのか、悩んだりしていました。中3のとき将来の夢を聞かれ、定年退職後、ドイツでカボチャをつくりたいと(笑)。高校生のときはパン屋がいいと考えたし、学部2年ではマッサージ師になりたいと思ったこともあります。深く考えていなかったんですね。学部4年次に研究室に入って、ようやく研究者になりたいと考えるようになりました。博士課程では、遺伝子ネットワークの確率的ダイナミクスの理論的解析というテーマで研究。紙と鉛筆で数式を解いていく理論構築と、数値シミュレーションを繰り返す日々でした。

02
ほどよい規模のシンクタンク

学究の道ではなく民間企業、中でもMRA入社を選んだ理由は何ですか?

猪狩
博士課程に進んだ後も研究者として生きていくことは難しいという自己評価は変わらなかったため、就職することを決めました。就職活動については、学部生や修士の人たちと同じように、行きたいと思う企業を探してエントリーし、採用試験を受けていました。30社ほどエントリーしたと思います。ただ、この分野で博士課程から民間企業に就職することが難しいという話も聞いていたので、民間で働いている先輩に相談しながら、金融、IT、シンクタンクに絞って活動していました。
於保
私も博士課程2年の10月頃から将来のことを真剣に考え始めました。研究が面白くてドクターまで進んだものの、特定のテーマを極めるアカデミアにはどこか違和感があったからです。ビジネスのほうが向いているという予感のようなものも。研究中に調べものでネット検索をしていて、偶然シンクタンクの存在を知ったときは興奮しましたね。これが自分向きの会社だと直感的に悟ったんです。
黄色
博士課程へ進んだのは研究者になりたかったからでしたが、そもそもは自分にしかできないことで社会に貢献したいと思い、漠然と研究者と考えていたところがありました。この想いを実現できるのであれば、アカデミアであろうと民間企業であろうとかまわないと思いました。博士課程の3年間で研究に関してはやり切れた満足感もありましたし、想いをかなえるには勉強だけではいけないという危機感もどこかにあったので、民間へ進むことを迷ったりはしませんでした。MRAなら三菱総研グループの一員として社会に貢献できる大きな仕事に携われるだけでなく、会社の成長に貢献できるところにも心が動かされました。私が入社した2012年当時は、まだ60名ほどの規模で、これからと思える会社でしたから。
於保
みんなで会社をつくっていくフェーズに魅力を感じたのは、私も一緒です。大企業からも内定をいただいていましたが、大企業で歯車の一つとして働くよりも自分で提案して変えていける中小企業のほうが肌に合っていると考え、当社を選びました。当時は「中小企業=ブラック企業」というイメージがあったため、その点は心配しましたが、まったくの杞憂でしたし(笑)。
猪狩
会社の規模感は私も意識しました。ほどよい規模感のほうが、様々なプロジェクトに挑戦するチャンスに恵まれそうだと思ったからです。大手SIerからも内定をいただいていたのですが、MRAのほうが取り扱うプロジェクトの幅が広く、複雑な課題に各分野のプロフェッショナルが知恵を注いで挑んでいると感じられた点も大きかったです。

03
大企業にはない仕事の実感

現在の仕事内容と、面白さや、やりがいについて教えてください。

於保
育児休暇から復帰する前は、事業部門で放射性廃棄物が地下水に与える影響を数値シミュレーションしたり、腐食しにくい金属材料の研究開発を行ったりしていましたが、現在は企画部で業績管理や事業部門支援に携わっています。経営企画と経理の境界領域のような業務で、自ら提案して社内の各種データを集計・分析するためのシステムを導入・整備し、事業部門のプロジェクトのデータ分析などを行っています。事業部門から要望を受けて、データ集計用のExcelツールを設計・開発することもよくあります。会社が大きく成長していくためにはコーポレート部門(管理部門)の強化が不可欠だと考え、出産を機に自ら異動を希望しました。実際に、管理部門の仕事をやってみると、主体的に改善・強化していける業務が多く、面白いと感じています。
猪狩
入社以来一貫して原子力に関する調査・研究を行っています。解析技術を用いて、放射性物質が環境中に放出された場合の被ばく線量評価を始め、原子力関連施設の安全解析、事故が起こったときの影響などを評価しています。
黄色
私は、介護保険制度に関する調査・研究、政策支援に携わっています。介護保険制度は3年ごとに改正されるため、改正に向けた実態調査や、改正後の効果検証を行っています。各自治体は、介護保険制度を踏まえ、それぞれの地域の状況に合わせた施策を実施しているため、その実態や課題を把握する必要があるからです。やりがいは、何といっても社会に貢献していると実感できるところですね。超高齢社会において、介護保険制度の整備は生活基盤にも関わる重要な施策で、中央省庁や自治体の担当者と将来像を一緒に考え、議論を重ねているときや、完成させた調査報告や報告書が、制度設計や見直しに反映されたときなどに、この仕事を選んでよかったと感じます。
猪狩
最近は、官公庁との直接取引も増えていて、若いうちから顧客の前に立つことが多く、直接評価される機会があるのも、やりがいに感じています。先日、私が執筆した政策文書を顧客ではない人たちが使っているのを見たときは、あらためて大きな仕事をしていると確認できたし、様々な場所で役に立てていると実感できました。
於保
社会貢献性の高さは、三菱総研グループだからこそ、といえる部分が確かにあります。それ以外だと、主体性を発揮しやすい組織になっているところもあげられます。自分で提案して業務を変えていけますし、大企業と違って決済の階層が少ないので、意思決定・実行までスピーディーに事を運ぶことができます。

04
数理的知識、論理的思考力、
高度に最後までやり切る意志

学生時代に学んだことで、役立っていることは何ですか?

猪狩
素粒子物理学という学問の専門性を求められる部分は、正直なところありません。でも、複雑な解析を行うとき、素粒子論を研究する上で欠かせない数理的知識や技術は活きています。
黄色
研究のプロセスで培われた力は役に立っています。課題設定や検証方法の検討、データに基づいた考察、論理的な文章作成、研究を知らない人にも分かりやすく伝える力などですね。
於保
修士課程の2年間はまずは一通り研究プロセスを経験してみる準備期間のようなもので、博士課程ではさらに濃密に研究に打ち込めるようになるので、研究プロセスに関する練度は間違いなく高いという自信がありますし、最後までやり切る力も訓練されています。それに博士課程では問題解決の成功体験を積んでいるため、新しいことや難しいことに臆することなくチャレンジできる姿勢もプラスになっていると思います。

05
視野を広く。民間の選択肢は圧倒的に多い

最後に、博士課程の就学者・出身者にアドバイスをお願いします。

於保
研究について、研究対象そのものが好きなのか、研究のプロセスが好きなのかを見極めることが大切です。もし、後者であれば、民間でも活躍の場は広いと思います。国内だけでも100万社以上の民間企業が存在し、アカデミックポストよりも圧倒的に選択肢が多いので、きっと自分に合う企業があるはずです。
猪狩
広く世界、世の中を眺めてほしいです。自分のできること、やりたいことというフィルターで世の中を眺めると、かなり狭く感じられると思いますが、それは世の中の広さを知らないだけです。民間企業に就職してみて、それはもったいないと感じるようになりました。ですから、就職を考えるときには、視野を広げる努力をしてみてください。
黄色
博士課程の就職活動は不利という話を聞きますが、少なくとも当社では博士課程の学生に対する不利な扱いは感じません。本人の人柄や能力などから正当に判断していますので、ぜひ門戸を叩いてみてください。