MRI Research Associates
公共政策第二部
PROJECT STORY
プロジェクトを、裏方として支える業務にも
特化することで、独自の存在価値が生まれる。
国や研究機関、あるいは民間企業などにおいて実施される多種多様な研究開発プロジェクト。
確かな成果へ結びつけるには、各事業者の専門性に加え、
計画や予算に沿ってプロジェクトを管理・推進し、関係者間の調整を行うマネジメント力が必要だ。
ただ、マネジメント力はどの組織にも十分揃っているとは限らない。
だからこそ我々は、プロジェクト運営の現場に入り込み、関係者をつなぐ立場として、
答えのない問いに向き合い続けながら、意思決定と実行を支えている。
植野 瑞穂

チームリーダー
2019年入社
総合科学部 卒

通信会社でSEとしてサービス開発を経験した後、研究開発機構で研究管理業務に従事。MRA入社後はその経験を活かしM4S®を軸に、研究開発プロジェクトの運営を支援し、お客様と一緒に成果につなげる役割を担っている。趣味はウォーキングやアート鑑賞。モネやルノワールといった印象派の作品展を中心に美術館巡りを楽しんでいます。

Mizuho Ueno
品川 健

2001年入社
社会情報学研究科 卒

もともとはMRAの前身となるシステム開発会社にWeb系の技術者として入社。その後、総合シンクタンクに姿を変えたMRAで調査系の仕事へ。妻一人、娘二人、猫一匹と生活。趣味は独り酒場探訪とヘヴィーメタルのライヴ参戦。

Ken Shinagawa
藤田 梨紗

2021年入社
融合理工学府 卒

大学では人間工学を専攻し、生理指標の測定・解析からヒトの特性に着目したデザインに関して研究。その経験を「研究者のサポート」という別の形で活かせる仕事があると知り、MRAへ。M4S®の開発・運用や研究開発事業の事務局運営支援業務を担当。趣味はeスポーツの大会観戦。

Risa Fujita

01
業務の概要

進捗管理も、合意形成も、
推進役のプロとして働く

MRAが提供するサービスの3本柱の1つ「PMO支援サービス」。当部の業務は大きく3つに分かれる。1つめは『事務局運営支援』。官公庁や研究機関が実施する研究開発事業を、採択支援から進捗管理、経費執行管理、報告会運営、精算支援まで一貫して担い、プロジェクト(以下、PJ)全体の推進を支える。

2つめは『研究開発事業マネジメント』。特定のPJに入り込み、スコープの共有、進捗・課題管理の見える化、KPI設計、報告資料の作成、予算管理などを通じて、運営の実効性を高める。3つめは『PMO(Project Management Office)DX』。当社独自システムM4S®を活用し、PMO業務の効率化と品質向上を実現している。

『事務局運営支援』と『研究開発事業マネジメント』の違いは?

藤田
「未来に向けて、いま重要な研究開発とは何か、そして誰が担うのか。これを国がリードしていくために、さまざまな官公庁が研究事業者を募集・採択し、研究費を支給して推進しています。『事務局運営支援』は、国がリードする研究開発事業を事務局として支える仕事です。公募から審査・採択、進捗管理、報告会の開催、成果報告、経費執行管理、精算支援まで、研究開発が前に進むための土台を整えます。」
「この仕事の難しさは関係者が多いこと。官公庁の発注者、研究事業者、有識者、協力機関など、立場もゴールも違う人たちの間に立ち、情報を整理し、論点をそろえ、合意形成を進める。言い換えると、PJの「推進力」を担う仕事です。」
品川
「一方の『研究開発事業マネジメント』は、研究委託を受ける側の民間企業や研究機関のPJに入り、研究開発事業の進捗管理を支援する業務です。研究開発に直接関わる支援だけでなく、お客様の組織内には、PJを客観視して課題を解釈し、打ち手を判断できる人材が必ずしもいるとは限りません。そこを我々が支えます。各ミッションの目的や目標の再定義、工程の見直し、リスクの洗い出しなど、何が本質的な論点かを考え抜くことが求められます。答えが最初から決まっていない分、面白い領域でもあります。」
植野
「本質は、どちらもつなぎ役であり推進役である点が共通しています。官公庁で培った経験や知見を民間側へ展開することも多く、対象が違うだけで、必要なのは調整力・構造化・伝達力といった総合力です。」

『PMO(Project Management Office)DX』では具体的に何をしているのか。

藤田
「PJが大規模化し、管理対象が増えた今、デジタルツールは不可欠です。まず大きな流れとして、現在PJで管理する内容や要素が拡大・多様化しており、複数の企業や団体がコンソーシアムを組む大規模研究開発PJが増えています。こういったPJでは、1人のプロジェクトマネージャーの管理範囲を超えてしまう。だからこそ、情報を一元化し、意思決定のスピードと品質を上げる仕組みが求められています。ただ、外部の既存ツールは汎用性が高い一方で、事務局業務に特化したPMOの運用にはそのままでは実務の細部までカバーしきれないことも多く、導入しても十分な効果を得にくいことがあります。」
植野
「そこで、我々が現場で積み重ねてきたノウハウをベースに、PMO業務に特化した独自ツールを開発したのが、『M4S®(エムフォーエス、MRA Secretariat Support System Series)』です。『情報の共有』と『お金の管理』を軸に、PMO内で共有したい資料、会議資料や関連情報を整理でき、見たいときに見たい情報へのアクセスを可能にしています。さらに、経費執行に係る証憑類を一元管理することで、遠隔でも経費執行状況を的確に確認できる仕組みを実現しています。現場でのお困りごとを出発点に問いを立て、メンバーで考え抜きながら仕組みとして形にしていく。ここにもMRAらしさがあると思います。」

02
業務の中身、苦労

管理だけでは終わらない。前に進めるために考え続ける

MRAのPMO支援は、単なる事務作業の代行ではない。
PJの状態を読み解き、関係者の認識をそろえ、次の一手を設計する。
そのために、地道な確認と、粘り強い対話が欠かせない。

『事務局運営支援』では、どのような業務をしているのか。

植野
「業務は大きく分けて、進捗管理と経費執行管理があります。進捗管理では、半年に一度程度、有識者へ進捗状況を報告する会議を開催し、そこで得られたフィードバックを次のアクションにつなげていきます。私たちは研究そのものを行う立場ではありませんが、研究が円滑に前に進むための条件を整えることが役割です。
また、事業者から毎月提出いただく工程表をもとに、計画どおり進んでいるかを確認し、遅れがある場合にはその要因を一緒に整理します。必要に応じて、計画変更に伴う各種手続きの支援も行います。
経費執行管理では、国の研究開発事業が国民の税金によって支えられている以上、一つひとつの支出が適切に行われているかを丁寧に確認する役割を担っています。」

「PJごとに事情や前提が異なるため、置かれている状況は一つとして同じではありません。だからこそ、過去の知見を参照しつつも目の前の状況を丁寧に読み解き、答えのない問いに向き合い続ける姿勢が求められます。」

『研究開発事業マネジメント』では、どのような業務をしているのか。

品川
「『研究開発事業マネジメント』では、お客様のPJの内容に、さらに踏み込んだ支援が求められます。例えば、業務効率化を併せて進める必要があるPJであれば、単に『どう進めるか』だけでなく、『何に取り組むべきか』という「改善の内容」まで一緒に考えます。」

「まずは進捗や課題を「見える化」し、次の打ち手が明確になる状態をつくる。そうすると、期限間際に追い込む管理から、先手を打ちながら前向きに進める管理へと変わっていきます。ここで必要なのは、単なる手順ではなく、考える力と伝える力です。」
藤田
「MRAには、常駐型・現場参画型で組織の内側から事業を支援してきた経験が豊富です。そこで培った、プロジェクトマネジメントに関する諸問題を解決した経験と、PJに付随するさまざまな課題に対する豊富な運用ノウハウが我々の強みです。プロジェクトマネジメントの課題は表面上は似ていても、背景は案件ごとに違う。だから、テンプレの適用ではなく、状況に合わせて設計し直す必要がある。
必要なら社内の調査研究部門とも連携し、専門性を補完しながらチームで最適解を探します。」

「最終的には、お客様が自律的に推進できる状態を目指し、仕組みやコミュニケーションツールとその利用ガイド、管理フォーマットといった残せるものを整備することも意識しています。」

官公庁と民間、それぞれに特徴や苦労がありそうだが。

藤田
「『事務局運営支援』では、報告会ひとつでもタスクが多岐にわたります。参加者は数十名規模で、事前調整、資料作成、当日の運営まで抜け漏れが許されません。機密情報も扱うので、プレッシャーは大きいです。だからこそチームで動きます。確認を積み重ね、互いにレビューし合いながら品質を担保する文化がある。個人プレーでは回らない仕事です。」
植野
「お客様をはじめとするステークホルダーとの信頼関係づくりも重要ですね。遅れやトラブルは、早く共有してもらうほど打ち手が増えます。そのために、日頃から頻繁にコミュニケーションをとり、相手の状況に踏み込んで支える。調整役でありながら、伴走者でもある感覚です。」
品川
「『研究開発事業マネジメント』だと、その企業に根付いた独自の「文化、風習」あるいは「制度、手続き」などがある点が難しいですね。目的のために変える必要があっても、簡単に変えられるものでもない。だから傾聴しながら、こちらの意図を言語化し、自ら工夫してもらって成功体験を積んでもらう。私自身もやり方を変え、見せる。こういう"地味だけど効く"働きかけは、まさにPMOの腕の見せ所だと思います。」

そういった業務を推進・加速させるM4S®開発をどう進めたのかもう少し聞きたい。

植野
「開発はコアメンバー3名を中心に、コンセプト設計から技術開発に加え、サービス名称の検討・商標登録、ブランディング、キャラクター設計、広報用Webページ制作、料金体系設計、営業まで、サービスづくりの全工程を一貫してチームで担いました。難しかったのは、お客様のニーズと我々のPMO業務のノウハウを、再現性のある仕組み(システム)に落とし込むこと。過去の知見を棚卸しし、『どうすればお客様の課題を解決できるか』を起点に議論を重ねました。メンバー内で問いを立て、論点を整理し、徹底的に考え抜いて設計に反映。細部までこだわって形にしました。」
藤田
「ただ、自信のもてるシステムを開発すれば、すぐにPJで利用できるというわけではありません。国も絡み、参加各社のセキュリティ基準が異なるため、1つのツールを共通で導入・利用するのは難しいところがあります。しかし、M4S®は既存のISMAP*に登録されているセキュリティの高いクラウドシステムをベースにしているため、導入のハードルを大きく下げることができました。多くのお客様に安心してご利用いただいています。」
植野
「M4S®は現在、チーム売上の半分以上のPJに導入され、PMO業務を支える共通基盤へと成長しています。チームでゼロから問いを立て、形にしていくプロセスそのものに、やりがいを感じます。」
* 政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and Assessment Program)、 通称ISMAP(イスマップ)。政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを予め評価・登録することにより、政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り、もってクラウドサービスの円滑な導入に資することを目的とした制度。

03
成果と展望

大きな意思決定を支え、社会課題の解決を前に進める
そして新たな事業の創出に貢献する

研究開発やさまざまなPJを成功へ導くためには、それらを管理し、推進役の存在が欠かせないことを再認識した。MRAは、プロフェッショナルとしてPJの内側、外側からその役割を担ってきた。では、その取り組みはどのような成果や実績につながっているのだろうか。また、そこで得た知見は、今後どのように活かされていくのだろうか。

今日までの成果や、今後の目指すものは。

植野
「『事務局運営支援』で支援させていただくPJには、1、2年の短い期間ではなく、数年から10年、20年以上という長期にわたるものも少なくありません。福島第一原発の廃炉や脱炭素社会の実現に関わるPJなどは、代表例です。短期的・定量的に社会への貢献を示すことが難しい事業もあります。しかし、我々が研究事業者に対して提供するサポートや助言、時には指導的な関与を通じて、研究開発は着実に前進し、結果として難しい社会課題の解決へとつながっていきます。その一端を担うことに、大きな使命感を感じています。」
藤田
「M4S®については、利用しているお客様から『業務が大きく効率化された』『現場で本当に役立っている』といった率直なフィードバックや、『ありがとう』という感謝のお言葉をいただいています。とはいえ完成とは考えておらず、社会やお客様のニーズの変化に合わせて改善し続けるべきものだと考えています。現状では大規模なお客様がターゲットでしたが、もっと小規模な案件にも、その価値をご提供していきたい。そこで、さらにご利用いただきやすいようにと機能を絞ることで費用を抑えたモデルの開発も進めています。」
品川
「PJ遂行の検討段階では、運用や管理の効率化は後回しになりがちです。しかし、我々にアウトソースいただくことで、お客様に代わり我々がそこに特化して突き詰めることで、効率化との両立がしやすくなります。PJとしての効率化を図りつつ、チェックの品質を緩めずに対応するノウハウはクライアントからの評価につながっており、他の業務にも活かしていけます。」

「今後はチームワークとバックアップ体制をさらに強化し、多領域の支援実績を増やして、共通ノウハウを蓄積したい。新しい事業領域にチャレンジする事業者も支えられる組織へ成長していきたいですね。」
藤田
「現在の仕事は、私の大学時代の専攻とは直接関わらない領域も多いです。だからこそ、知らない分野に触れ、視野が広がりました。専門家や事業者、さまざまな立場の方々を、私自身も専門性をもって、より強くより円滑につなげられるようになっていきたいと思っています。」

「そして今、入社5年目でM4Sのサービスライン拡張を担うPJリーダーとして、外部ベンダーの管理を含む開発推進を担っています。PMOの現場で使われるツールなので、特定の分野に限らず、お客様の煩雑な業務フローがシステム導入によって効率化されていく様子を、現場で実感できる点に魅力を感じています。また、業務・システム双方にまたがって幅広く関わることで、多様な課題や意思決定に触れながら知見を広げていける点にも楽しさと成長の可能性を感じています。入社年次に関わらず、チームで議論しながら問いを立て、アウトプットに責任を持って形にしていく----そうした経験を担う機会があると思います。」

「学生の方々には、研究という仕事だけでなく、研究事業の管理やPMOという形で社会課題の解決に貢献している仕事があることも知り、興味を持っていただけたら嬉しいです。」

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